公立中高一貫校に1270人
今春開校する県内初の公立中高一貫校「中央中等教育学校」(高崎市新保田中町)の出願が、十三日締め切られた。県教委の集計で、志願した小学六年生は募集定員の男女各六十人に対し、男五百三十五人(志願倍率八・九倍)、女七百三十五人(同一二・三倍)に達し、平均志願倍率は一〇・六倍。小学生を対象にした県立学校初の選抜検査の実施としても注目されたが、人気の背景には高校入試のない六年間を使ったゆとりあるカリキュラムや、英語教育に対する保護者の期待などがあるとみられる。
県教委によると、志願者の多い市町村は高崎市三百七十四人(小学校数三十二校)、前橋市三百二人(同三十七校)、玉村町八十人(同五校)、伊勢崎市四十七人(同十二校)、安中市三十九人(同七校)、渋川市三十八人(同六校)、群馬町三十六人(同五校)、太田市三十五人(同十六校)、藤岡市三十一人(同六校)―など。
県内六十九市町村のうち、志願者は五十一市町村にわたり、学校からの距離が遠い館林市や嬬恋村、草津町からの出願もあった。
高倍率について、飯野真幸・県教委学校指導課長は「六年間連続して教育を受けられる点に保護者の関心が集まった。英語教育への目新しさや、母体となる中央高校が文部科学省の『スーパー英語校』に指定されていることもあり、教育内容への期待が高まっている」と分析する。
基本構想によると、中央中等教育学校は三十人一クラスで前後期制。三年次から英語で数学や理科などの学習を行う「イマージョンプログラム」を実施し、外国人教員によるコミュニケーション指導や数学は十五人の少人数で行われる。
選抜検査は調査書、面接、作文(四十五分)、適性検査(五十分)の結果を総合して行う。学力試験は行わず、学習意欲に加え、自分の目標に対していかに強い意志を持って学習できるかという観点で選抜される。
県教委は十三日、志願者が多いことから、今月二十四日の選抜検査を県立中央高校と県立高崎商業高校(高崎市東貝沢町)の二会場で行うと発表した。合格発表は二月一日。
小6にも学校選択肢
県内初の公立中高一貫校が開校することによって、小学六年生に学校の選択肢が与えられ、中央中等教育学校の特色ある教育内容や、母体の県立中央高校のブランドが児童とその保護者の関心を引き付けたとみられる。
前橋市南部の小学校では、ほぼ四人に一人の六年生が出願した。同校の校長は「特に女子児童には英語教育が魅力に映ったようだ」とみる。同校は児童に志願理由書の書き方を指導したり、冬休みの宿題で選抜検査を意識した作文の練習を課すなどの対策を実施。検査日直前には面接の練習を行う予定だ。
同市内にある私立の創世中等教育学校の平方秋夫校長は「今の公立中学に物足りなさを感じている親が、新しい校種に期待している部分もあるのでは」と分析する。
また、県内の学習塾関係者は「高校入試がないという親のとらえ方が強い。大学入試を意識した都内の私立校とは異なるようだ」と指摘。ただ中央中等教育学校の開校にあわせ、合格への対策講座を設けている学習塾も登場している。
同校開設の狙いは受験戦争の低年齢化ではないはず。子供たちやその保護者は将来をしっかり見据えながら、中学校を選択する時代がきたとも言えそうだ。
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